
輸出取引を行うと消費税の還付が受けられます。輸出した商品は日本ではなく輸出先の国で消費されるものです。輸出取引に日本の消費税を課してしまうと、日本の税金である消費税を他国の人が負担することになってしまいます。そのため、輸出取引にかかる消費税は還付の対象となります。
消費税還付に必要な輸出を証明する書類
消費税の還付を受けるためには、輸出取引を行ったことを証明する書類を保存しておかなければなりません。
書類には下記のものが該当し、
● 輸出許可書
● 輸出の事実を記載した帳簿や請求書等
● 取引先との契約書等
書類内にはこれらの項目が記載されている必要があります。
資産の譲渡等を行った
1. 事業者の氏名又は名称及びその契約に係る住所等
2. 年月日
3. 資産又は役務の内容、
4. 対価の額
5. 相手方の氏名又は名称及びその取引に係る住所等
還付を受けるには消費税の確定申告を行う必要があります。その際、上記書類をあわせて提出するようにしましょう。
関連記事 消費税の税額計算の仕組みと輸出免税の税額計算の仕組み
参考:国税庁|No.6551 輸出取引の免税
20万円以下の国際郵便の輸出の場合
価格が20万円以上の国際郵便で輸出を行う場合、原則的に税関へ輸出申告書を提出し許可を得る必要があります。
一方、20万円以下の場合その必要がありません。そのため20万円以下の国際郵便の輸出にかかる消費税の還付を受ける際には、輸出取引があった事実を確認できる「帳簿または物品受領書」を輸出の証拠として保存していました。
しかし、令和3年度の税制改正により、この20万円以下の国際郵便の輸出免税の適用要件が厳格化されました。帳簿は作成者によって改ざんがしやすく、そのため輸出取引がなかったにも関わらず「輸出取引があった」と記録し不正に輸出免税を受けようとする事例がみられたからです。
改正後は20万円以下の国際郵便の輸出免税を受けるには「日本郵便株式会社から交付を受けた当該郵便物の引受けを証する書類及び発送伝票等の控え」を保存する必要があります。
今後20万円以下の国際郵便で輸出を行う方は保存すべき書類が変更になっていることを忘れないようにしましょう。資産の譲渡を令和3年10月1日以降に行う輸出取引から適用となります。
輸出許可書などの書類残さなかった場合のリスク
輸出取引にかかる消費税の還付を受けるには、輸出の証拠となる書類を保存しなければなりません。
これらの書類を残さなかった場合、輸出取引であると認められないことがあります。その場合はもちろん消費税の還付を受けることができません。そればかりではなく、逆に消費税の納付に転じる危険性もあるのです。
本来支払わなくてよかった消費税を納付しなければならない事態を引き起こさないためにも、必要書類はしっかりと保存しておきましょう。
輸出許可証や発送伝票等の控え等消費税の還付に関する書類は原則7年間保存する必要があります。還付や申告の終了時に誤って破棄してしまわないよう注意しましょう。
まとめ
輸出取引において消費税の還付を受ける場合、輸出取引を証明できる書類を提出しなければなりません。
原則的には輸出許可書・輸出の事実を記載した帳簿や請求書等・取引先との契約書等が該当します。20万円以下の国際郵便の場合は、日本郵便株式会社から交付を受けた当該郵便物の引受けを証する書類・発送伝票等の控え等が必要書類となります。
輸出取引を行う際には、これらの書類を忘れずに保存するようにしてください。
輸出取引をこれから始める方にとっては、どの書類もイメージがつきにくいものでしょう。そのような場合はぜひ一度当事務所へご相談ください。消費税の還付が受けられるよう必要書類の準備から申告まで適切なアドバイスをご提供いたします。


PREV
![]() |
NEXT
![]() |