消費税の税額計算の仕組みと輸出免税の税額計算の仕組み

消費税は身近な税金でもあり、事業者にとっては消費税の税金の知識を身に付けることも重要です。
知識を身に付けることで、節税に繋がります。
消費税の申告時の計算方法は「預かった消費税―支払った消費税=消費税の納税額」となります。
課税事業者は消費税の申告をしなければなりませんが、免税事業者は消費税の申告をする必要はありません。
しかし免税事業者であっても輸出取引が多い場合、課税事業者になった方が得をする可能性は高いです。
この記事では消費税の税額計算の仕組みや、輸出免税の税額計算の仕組みを分かりやすく解説しています。
是非とも参考にしていただけると幸いです。

課税事業者と免税事業者の決まり方

課税事業者を満たす要件としては下記の4つになります。
1.2年前の事業年度(基準期間)の売上高が1,000万円を超える事業者
2.課税事業者選択届出書を出した場合
3.特定期間の売上が1,000万円超かつ支払給与額が1,000万円超
※個人事業者は前年1月1日~6月30日までの間、法人は前年の事業年度開始後6ヶ月間
4.設立資本金が1.000万円以上の場合
要件を満たしていない場合は、免税事業者となります。
多くの事業者の場合は、2年前の事業年度(基準期間)における売上高が1,000万円を超えているかどうかが基準になるでしょう。

納める消費税の計算方法

課税事業者が納める消費税の計算方法として、下記の2つに分けられます。
・一般課税
・簡易課税
それぞれで計算方法が異なってきます。
次項で詳しく説明していきましょう。

一般課税の計算方法
一般課税で消費税の納税額を求める計算式は、下記のようになります。
・「課税期間中の課税売上にかかる消費税」―「課税期間中の課税仕入れなどにかかる消費税」=消費税の納税額
例として、課税期間の課税売上にかかった消費税が100万円、課税期間の課税仕入れにかかった消費税が90万円だとします。
100万円(課税期間中の課税売上にかかる消費税)―90万円(課税期間中の課税仕入れなどにかかる消費税)=10万円(消費税の納税額)
つまり、10万円の消費税額を納付する必要があるのです。

簡易課税の計算方法

簡易課税で消費税の納税額を求める計算式としては、下記のようになります。
・「課税期間中の課税売上にかかる消費税」―「課税期間中の課税仕入れなどにかかる消費税×みなし仕入れ率」=消費税の納税額

引用元:No.6505 簡易課税制度|国税庁 (nta.go.jp)

例として、課税期間の課税売上にかかった消費税が100万円、課税期間の課税仕入れにかかった消費税が90万円だとします。
第1種事業(卸売業)だと仮定して、みなし仕入れ率は90%としましょう。
100万円(課税期間中の課税売上にかかる消費税)―[90万円(課税期間中の課税仕入れなどにかかる消費税)×90%(みなし仕入れ率)]=19万円(消費税の納税額)
つまり、19万円の消費税額を納付する必要があるのです。
簡易課税の計算ができる事業者は、基準期間の課税売上高が5,000万円以下と定まっているので、留意しておきましょう。

課税事業者になる際の必要な書類

消費税の課税事業者となるには、所轄の税務署に届出書を提出しなければなりません。
手続きが完了しないと、課税事業者として認められないので消費税の申告ができません。
提出する書類には下記のようなものがあります。
・消費税課税事業者届出書(基準期間用・特定期間用)
・消費税簡易課税制度選択届出書
・消費税課税事業者選択届出書
1つずつ見ていきましょう。

消費税課税事業者届出書(基準期間用・特定期間用)

消費税課税事業者届出書は、基準期間(※1)・または特定期間(※2)の課税売上高が1,000万円を超える場合、速やかに提出する必要があります。
※1.基準期間=2年前の事業年度の売上高が1,000万円を超える事業者
※2.特定期間=個人事業者は前年1月1日~6月30日までの間、法人は前年の事業年度開始後6ヶ月間

消費税簡易課税制度選択届出書

消費税簡易課税制度選択届出書は簡易課税制度を選択するとき、速やかに提出します。
前述したように、簡易課税制度を利用する場合は、基準期間の課税売上高が5,000万円以下であることが条件です。
簡易課税制度を取りやめる場合は、簡易課税制度選択不適用届出書を提出します。

消費税課税事業者選択届出書

消費税の申告をする必要がない免税事業者が課税事業者になりたい場合、消費税課税事業者選択届出書を提出します。
提出期限は選択する課税期間の初日の前日まで、となっています。
預かった消費税より支払った消費税が多い場合、課税事業者になったほうが得です。
例えば、商品を国外へ輸出する事業者などは輸出免税を受けられるので、課税事業者になることで得するケースが多いです。
詳しくは次項以降で説明していきましょう。

消費税の輸出免税とは

商品を国外で売るために、輸出販売する商品は輸出免税となります。
国外への輸出には消費税がかけられないということです。
なぜ輸出免税があるかというと、「国外で消費されるものには課税しない」という考え方があります。
例えば日本から中国へ商品を輸出した場合、購入者は日本にも消費税を納めて、中国にも消費税を納めることになります。
いわば、二重課税です。二重課税を防ぐために輸出免税があるといっても過言ではありません。
輸出免税に該当する取引は、下記の図を参考にしてください。

引用元:No.6551 輸出取引の免税|国税庁 (nta.go.jp)

輸出免税が多いと消費税の還付金が受けられる場合も!

輸出取引が多い場合、免税事業者であっても申告することで還付金を得られる可能性は高いです。
例えば10,000円の輸出売上に対して5,000円の仕入れ(税込5,500円)をおこなったとします。
輸出免税が適用されるので、売上に消費税はかかりません。
0円(受け取った消費税)―500円(支払った消費税)=▲500円(消費税の納税額)といった計算式になります。
納税額がマイナスになるので、マイナス分が還付されるのです。

消費税の還付が受けられるのは課税事業者のみ

消費税の還付が受けられるのは課税事業者のみです。
免税事業者、または課税事業者であっても簡易課税制度を利用している場合、還付金を受けることができないので注意しましょう。

売上が免税となる輸出取引をしているなら課税事業者を選ぶべき!

消費税の納税額は「預かった消費税―支払った消費税」で計算します。
しかし、輸出取引による売上は消費税が免除されます。
つまり仕入に係る消費税の支払額が増える一方なので、課税事業者になった場合、還付金が受けられる可能性が高いです。
輸出取引をしている事業者は、免税事業者であっても課税事業者になる方が良いでしょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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