
病気やケガをして医療費がかさんでしまった時は家計に大きく負担がかかります。
医療費控除は医療費の負担を軽減したり、還付を受けたりできます。さらには翌年の住民税額にも反映されますので必ず確定申告を行いましょう。
この記事では迷いやすい医療費控除の対象や計算方法、必要書類などを解説します。ぜひ、参考にしてください。
Contents
医療費控除とは?
・本人と生計を一にする家族が1年間に支払った医療費、医薬品の費用。その合計が一定基準を超えた場合控除が受けられる制度
・医療費控除には、通常の医療費控除とセルフメディケーション税制の2種類がありますが併用は不可
どちらの方法を選ぶのが良いかは支払った金額、内容で変わりますのでご注意ください。
『生計を一にする』とは?
・必ずしも同居が要件ではありません。仕事、就学、療養などで別居していても休日には一緒に生活している、もしくは生活費、学費、療養費を送金している場合
・親族が同一の家屋で日常生活を送っている場合(同居していても明らかにお互いが独立した生活をしている場合は不可)
通常の医療費控除について
・医療費控除は過去5年間さかのぼって申請できる。申告期限は対象の年から5年以内
・会社員は医療費控除の手続きは年末調整ではされない。税金の還付を受けるには自分で確定申告をする必要がある
・共働き夫婦でお互いに所得があるとき、医療費を合算して夫婦どちらかで申告をすることができる
・自由診療でも医療費控除の対象となる場合もある
医療費控除の計算方法
医療費控除の限度額は200万円
・総所得金額200万以上の場合:1年間の医療費 -保険金等で補てんされる金額 -10万円
・総所得金額200万未満の場合:1年間の医療費 -保険金等で補てんされる金額 -総所得金額 ×5%
『保険金等で補てんされる金額』とは?
生命保険契約などで支給される入院費給付金や健康保険などで支給される高額療養費・家族療養費・出産育児一時金など
国税庁「医療費を支払ったとき」
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/04_1.htmなにが医療費控除の対象になるのか
なにが医療費控除の対象になるのか?
医療費控除の対象は多岐にわたります。いろいろなケースがありますのでコチラも参考にしてください。
国税庁「No.1122 医療費控除の対象となる医療費」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1122.htm
国税庁 「No.1120 医療費を支払ったとき」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1120.htm
病院診療・入院
【病院診療・入院 対象になる例】
・診療費、入院、治療費
・通院や入院のための交通費、入院時の食事代や部屋代
・治療のための松葉杖、コルセットなど医療器具の購入やレンタル費用、補聴器(条件あり)の購入やレンタル費用
・医師の送迎費
・治療のためのリハビリ・マッサージ費用
・視力回復レーザー手術(レーシック手術)費用
・人間ドックや健康診断の費用(健康診断等の結果、重大な疾病が発見され、その治療に先立って行われる診察と判断された場合)
【病院診療・入院 対象にならない例】
・自己判断によるPCR検査
・インフルエンザなど予防注射の費用
・通院のための自家用車のガソリン代や駐車代
・マッサージ、鍼灸、整体の施術費用(治療に直接関係のない場合)
・予防注射の費用
・健康診断や人間ドックの費用
・食事療法を行った場合の食品購入費
・治療を受けるために直接必要としない、近視、遠視のための眼鏡、補聴器等の購入費用
妊娠・出産
【妊娠・出産 対象になる例】
・妊娠定期検診、分娩の費用、助産師による分娩の介助料、通院費
・不妊治療の人工授精等、採卵消耗品代の費用
【妊娠・出産 対象にならない例】
・実家に帰って出産するための交通費
・親族に支払う看護料、謝礼
介護制度
【介護保険制度 対象になる例】
・訪問リハビリテーション
・居宅療養管理指導
・訪問介護(生活援助中心型を除く)
【介護保険制度 対象にならない例】
・特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム等)
・認知症対応型共同生活介護
・福祉用具貸与
国税庁「医療費控除の対象となる介護保険制度下での居宅サービス等の対価」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1127.htm
歯科
【歯科 対象になる例】
・歯の治療費(保険適用外の費用を含む)
・インプラント
・子供の歯列矯正費用
・歯科ローンの借入金
・治療としての歯列矯正「食べ物を前歯で噛み切れない」「言葉がきれいに発音できない」といった、日常生活に支障をきたす症状の機能回復のための治療
【歯科 対象にならない例】
・美容のための歯列矯正
・歯石除去の費用
歯科治療費の迷いポイント
入れ歯やクラウン(被せ物)に使用する金やポーセレン(セラミック)は一般的な歯科材料であるため、医療費控除の対象。
高価な材料を使用する場合も医療費控除の対象、保険適用にはならない。
インプラントは医療費控除の対象、ただし保険適用にはならない。
国税庁「No.1128 医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1128.htm
薬代
【薬代 対象になる例】
・医師の処方せんにより薬局で購入した医薬品
【薬代 対象にならない例】
・美容目的、健康増進、疾病を予防するためのサプリメント、漢方薬やビタミン剤等の費用
医療費控除に必要な書類
医療費控除の申請に必要な書類
・医療費控除の明細書
税務署または国税庁のホームページ医療費控除の明細書【内訳書】からダウンロードできます。
・確定申告書
・医療通知書・健康保険組合等が交付する医療費通知(医療費のお知らせ)
添付することで、医療費控除の明細書の記載を簡略化できます。
・保険会社から至急された補てんの医療費の金額がわかる明細書
・還付金受取用口座(ご本人名義)
注意:医療費の領収書、通院や入院のための交通費のメモは提出不要になりましたが、5年間保管する必要があります
セルフメディケーション税制について
セルフメディケーション税制(特定の医薬品購入額の所得控除制度)とは、医療費控除の特例です。
健康の維持増進と疾病の予防への取組を個人が行い、スイッチOTC医薬品(要指導医薬品及び一般用医薬品のうち、医療用から転用された医薬品)を購入した場合に、その購入費用について所得控除を受けることができる制度です。
セルフメディケーション税制で控除できる金額の計算方法
セルフメディケーション税制の控除限度額は88,000円
・1年間に支払った対象になるOTG医薬品の購入費用 -保険金の補てんされる金額 -12,000円
・保険金の補てんされる金額の詳しい説明は『医療費控除の計算方法』を参照してください。
セルフメディケーション税制の適用条件
セルフメディケーション税制の適用条件は以下とおりです。
・その年に対象の医薬品を世帯合計で12,000円以上購入している
・セルフメディケーション税制の適用を受ける場合、健康診断や予防接種など、健康増進や病気の予防に取り組んでいる必要がある 必ず受診時の領収書や結果通知表を5年間保存
・対象となる特定一般用医薬品等の購入 必ず領収書を5年間保存
・所得税・住民税を納めている
・通常の医療費控除の適用を受ける場合は、セルフメディケーション税制を受けることはできません
セルフメディケーション税制に必要な書類
・セルフメディケーション税制の明細書 (薬局などの支払先の名称、医薬品の名称、支払った金額)
・支払った金額のうち生命保険や社会保険などで補てんされる金額がわかる領収書
・領収書・取組関係書類 は5年間保存の必要がある
・確定申告書
・還付金受取用口座(ご本人名義)
セルフメディケーション税制対象品目は下記のサイト中「セルフメディケーション税制対象品目一覧」で確認できます。
厚生労働省「セルフメディケーション税制(特定の医薬品購入額の所得控除制度)について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000124853.html
医療費控除のやり方のまとめ
病院はあまり行かないという方は、セルフメディケーション税制が使えるかどうか?
OTG医薬品は意外と普段なじみのある薬や医薬品で対象品がありますのでぜひチェックをしてみてください。
セルフメディケーション税制対象品目一覧のリンクは【セルフメディケーション税制に必要な書類】のところにあります。
医療費控除は確定申告が必要なので難しく感じるかもしれませんが、確定申告書と「医療費控除の明細書」か「セルフメディケーション税制の明細書」を作成、必要書類を提出するだけなのでとても簡単です。税金が安くなる・還付金があるかもしれないと家計にはありがたい制度なのでぜひ!医療費控除を活用して下さい。


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