前職の源泉徴収票が必要な理由ともらえないときの対策4選

転職後の年末調整で、前職で交付された源泉徴収票が必要なのをご存じですか?

会社が源泉徴収票をスムーズに交付してくれるといいのですが、まれにトラブルに巻き込まれ、源泉徴収票が交付されないことがあります。

この記事では、前職の源泉徴収票が必要な理由と源泉徴収票がもらえない理由、また源泉徴収票が交付されなかった場合の対策方法をご紹介します

現職で前職の源泉徴収票を提出する理由

 

転職などで職場が変わった場合、前職の源泉徴収票を現職の職場に提出する必要があります。

その理由は年末調整の仕組みにあります。

 

年末調整とは、給料から毎月天引きされている1年分の控除額(所得税・健康保険・年金など)を精算することを指します。概算で差し引かれている控除額を精査したのち、徴収し過ぎている場合は還付されます。また、過不足があれば納付しなければいけません。

 

さらに、年の途中で退職した場合に前職の職場で年末調整を受けることができません。ですので、1年間の給与や控除額を合計し、正しい税額を導くためにも前職の源泉徴収票を現職の職場に提出する必要があるのです。

 

また、現職で前職分の年末調整をしなかった場合、自ら確定申告をして対応することになります。

 

自分で確定申告をする場合も、転職先で年末調整をしてもらう場合でも、源泉徴収票は必ず必要となるので大切に保管しておきましょう。

 

次に、源泉徴収票がもらえない場合についてご説明します。

なぜ源泉徴収票がもらえないのか?

一般的に、源泉徴収票は12月から1月頃に会社から交付されます。

しかし、以下の5つの理由に当てはまると、源泉徴収票をもらえない場合があります。

・担当者が忘れている・交付義務を知らない
・給与所得がない
・業務委託で仕事を請け負った
・日給が9,300円未満
・会社が倒産

1つずつご説明します。

担当者が忘れている・交付義務を知らない

源泉徴収票は退職者の時期に関わらずに交付する義務があります。しかし、会社側が発行義務を知らない場合もあります。

また、担当者が忙しく交付を忘れている可能性もあります。

さらには、会社の仕組みで退職ごとに作っておらず、年末調整の時期にまとめて作っている場合があります。

それだと現職の会社での年末調整に間に合わない可能性があるので、早めに確認しましょう。

育休・休業状態のまま辞めて給料の支給がなかった場合

源泉徴収票とは、あくまでも給与所得がある人に対して交付される書類です。ですので、個人事業主など、会社から給与が発生していない場合は交付されません。

業務委託で仕事を請け負った

業務委託とは、企業に属す社員ではなく、外部の企業や個人に業務を委託する働き方です。

フリーランスなど業務委託契約で仕事を請け負った場合、委託した側に源泉徴収の義務がないので、源泉徴収票は交付されません。

労働契約を結んでいない

労働契約とは、使用者と労働者が交わす、労働条件に関する合意契約のことを指します。

身内や知り合いの手伝いなどで、労働契約を結んでいない場合、源泉徴収の必要はありません。

参照元:厚生労働省 労働契約法のあらまし

日給が9,300円未満

雇い主は、アルバイトやパートで働くすべての従業員に対して源泉徴収をする義務がありますが、日雇いで、日給が9,300円未満の場合は源泉徴収票が発行されません。

しかし、雇用主が労働契約を結んだり、継続勤務が2か月以上の日雇い契約の場合は源泉徴収票が必要となります。

前職の会社が倒産

前職の会社が倒産し、一切連絡がとれなくなった場合も源泉徴収票が交付されないことがあります。その場合は、税務署から対応してもらうことになります。

源泉徴収票がもらえないときの対策4選

源泉徴収票は退職後、目安として1か月以内に交付され、従業員から請求しなくても送られてくる仕組みになっています。しかし、なんらかのトラブルで前職から源泉徴収票が送られてこないことが起こることもあります。そんな時の対処方法は以下の3つです。

  • 電話やメール、手紙で問い合わせをする
  • 税務署に相談しに行くと伝える
  • 税務署で手続きをする

1つずつご説明します。

電話やメール、手紙で問い合わせをする

源泉徴収票の交付は法律で義務つけられているので、基本的に請求しなくても送られてきます。

しかし、担当者が忙しく忘れている場合もあるので、退職後1か月を過ぎても、源泉徴収票が送られてこない場合、電話やメール、手紙などで問い合わせをしてみましょう。

いつまでに送ってもらうなど、期日を決めておくのも大切です。

期限に間に合わなかったら、自分で確定申告をする

現在の会社の方には、なかなか源泉徴収票が来ないので年末調整しないで大丈夫ですと伝えておきましょう。今の会社と、前職の源泉徴収を持って、自分で確定申告して税金を取り戻すのが、最も穏便に済む方法だと思います。

税務署に相談しに行くと伝える

源泉徴収票を交付しない場合、1年以下の懲役、又は50万円以下の罰金に処されます。電話やメール、手紙で問い合わせをしてもすぐに交付してもらえない場合、「税務署に相談する」と伝えるのも効果的でしょう。

税務署に連絡をすることで、税務署から指導が入り、早急に対応してもらえる可能性があります。

ですので、年末調整を過ぎても交付してくれない場合は、最悪、税務署に相談しに行くと伝えるのも致し方なしです。

参照元:税務研究会  所得税法 第242条

税務署で手続きをする

連絡をしても源泉徴収票を交付してもらえ得ない場合は、税務署に出向き、「源泉徴収票不交付の届出書」を提出しましょう。

源泉徴収票不交付の届出書とは、前線徴収票が交付されないことへの不服申し立てをおこなう書類です。国税庁の公式サイトからフォーマットをダウンロードし、必要な箇所を記入して提出します。

また会社が倒産した時も税務署に相談し対応してもらうようにしましょう。その際、給与証明書などが必要となるので大切に保管しておきましょう。

 

参照元:国税庁 【手続名】源泉徴収票不交付の届出手続

まとめ

転職先で前職の源泉徴収票が必要な理由と、源泉徴収票が交付されない理由、また源泉徴収票が交付されないときの対処方法についてご紹介しました。

 

「源泉徴収票」と聞いてもどんな書類かピンとこない人もいるでしょう。しかし、税金に関わる大切な書類なので、会社から届いた場合には年末調整で必要となる時期まで大切に保管しておきましょう。

また、退職後1か月ほど経っても送られてこない場合には、、交付してもらうよう速やかに対応しましょう。

さらに、期限に間に合わなかったら、自分で確定申告をしましょう。

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