
下記は私達の事務所に多く寄せられるFAQをまとめたものです。消費税還付に関する基本的な知識や、輸出・輸入に関する消費税の取り扱いについて理解するためのものです。輸出業者にとって、正しい申告や証明書類の準備、課税期間の短縮などを活用することで、消費税還付を適切に受け、資金繰りの向上を図ることが可能です。
Contents
- 1 Q1: 輸入時の関税・消費税の計算方法
- 2 Q2: 消費税が免除される輸出取引の範囲は?
- 3 Q3: 輸出免税を適用するための証明書類は?
- 4 Q4: 国外倉庫から顧客に直接出荷した場合の消費税は?
- 5 Q5: 資産を国外で使用するために移送した場合、仕入税額控除は可能?
- 6 Q6: 免税事業者から課税事業者へ変更するには?
- 7 Q7: 免税事業者の要件は?
- 8 Q8: 仕入税額控除の条件とは?
- 9 Q9: 小額取引でも請求書保存が必要ですか?
- 10 Q10: 消費税還付を受けるための証明は?
- 11 Q11: 輸出事業者が消費税還付を受けられないケースは?
- 12 Q12: 課税期間の短縮制度とは何ですか?
- 13 Q13: 輸出証明書類の取得方法は?
- 14 Q14: ハンドキャリーで商品を輸出する場合の証明方法は?
- 15 Q15: 輸入消費税の仕入税額控除を受けるための要件は?
- 16 Q16: 輸出事業者で消費税還付漏れが発生する原因は?
- 17 Q17: 輸出をする事業者が消費税の還付を受ける仕組みは?
- 18 Q18: 簡易課税制度とは?
Q1: 輸入時の関税・消費税の計算方法
関税は、CIF価格(卸売価格+運賃+保険料など)に関税率をかけた額で、100円未満は切り捨てられます。消費税は、CIF価格と関税額の合計に課税されます(千円未満切り捨て)。アルコール飲料には「CIF価格+関税額+酒税額」に対して消費税が課税されます。
Q2: 消費税が免除される輸出取引の範囲は?
消費税が免除される一般的な輸出取引は以下の通りです:
- 国内からの輸出として行われる資産の譲渡や貸付
- 国内外にわたる旅客や貨物の輸送、通信、郵便
- 非居住者への無体財産権(特許や著作権など)の譲渡や貸付
- 非居住者向け役務の提供(国内で便益があるものは除く)
Q3: 輸出免税を適用するための証明書類は?
輸出免税の適用には、取引が輸出取引であることを示す証明書類が必要です。具体的には以下の書類を7年間保存します:
- 輸出許可書(20万円超の郵便物の場合、税関長の証明付き)
- 帳簿や契約書等(法定事項の記載が必要)
Q4: 国外倉庫から顧客に直接出荷した場合の消費税は?
国外の倉庫から直接顧客に販売する場合、国内における資産の譲渡には該当せず、消費税は課されません。
参考:国税庁|No.6210 国外取引
Q5: 資産を国外で使用するために移送した場合、仕入税額控除は可能?
課税事業者であれば、輸出の証明がある限り、国外で使用するための移送も含め仕入税額控除を適用可能です。
関連記事 国外移送(消費税法第31条第2項)を活用した輸出免税と消費税還付の解説
参考:国税庁|非課税資産の輸出等を行った場合の仕入れに係る消費税額の控除の特例
Q6: 免税事業者から課税事業者へ変更するには?
「消費税課税事業者選択届出書」を提出します。事業開始後、期末までに提出が必要で、基準期間の売上が1,000万円以上の場合や、資本金が1,000万円以上の場合は設立時から課税事業者となります。
Q7: 免税事業者の要件は?
個人事業主は2年前、法人は2事業年度前の売上が1,000万円以下の場合、免税事業者となります。設立初年度は、資本金が1,000万円未満ならば免税事業者です。
関連記事:消費税の課税事業者と免税事業者の決まり方
Q8: 仕入税額控除の条件とは?
仕入税額控除を受けるには、請求書や帳簿に取引内容、金額などの必要事項を記載し、保存する必要があります。
Q9: 小額取引でも請求書保存が必要ですか?
3万円未満の課税仕入れについては、帳簿に必要事項を記載することで請求書保存が不要です。
Q10: 消費税還付を受けるための証明は?
消費税還付には、輸出許可書や輸出の事実を記載した帳簿が必要で、これらの書類がないと還付は受けられません。
Q11: 輸出事業者が消費税還付を受けられないケースは?
簡易課税制度を選択している場合や免税事業者の場合は還付が受けられません。
Q12: 課税期間の短縮制度とは何ですか?
課税期間の短縮制度は、所轄税務署に「課税期間特例選択届出書」を提出することで、課税期間を3か月または1か月に短縮できる制度です。この制度により、消費税の還付申告を短いサイクルで行うことが可能になり、特に輸出業者にとって資金繰りの改善につながります。
Q13: 輸出証明書類の取得方法は?
輸出証明書類の取得は、税関に輸出申告を行い、必要な検査を経て輸出許可を受けることで取得できます。電子申告の場合、輸出許可通知書が発行され、郵便での輸出時には20万円を超える場合に税関長の証明が必要です。輸出資産の価額が20万円以下の場合は、帳簿に輸出の事実を記載し、書類を保管しておく必要があります。
Q14: ハンドキャリーで商品を輸出する場合の証明方法は?
輸出価格が30万円を超える場合、ハンドキャリーでも輸出許可書が必要です。30万円以下の場合は、口頭での申告でも対応可能ですが、再輸入を考慮する場合や消費税還付手続きに備えるため、託送品申告書を提出し、輸出許可印を取得することを検討するのが望ましいです。
Q15: 輸入消費税の仕入税額控除を受けるための要件は?
輸入消費税の仕入税額控除を受けるには、輸入許可書の保存が必要です。また、帳簿には引取日、内容、消費税額、地方消費税額などの記載を行う必要があります。通関業者に輸入手続きを委託している場合も、輸入許可書が事業者名義であることを確認することが重要です。
Q16: 輸出事業者で消費税還付漏れが発生する原因は?
還付漏れの主な原因は、輸入時に支払った消費税の控除を見落としているケースです。これは、本来控除されるべき消費税額が仕入価額や租税公課として計上されてしまうことが理由です。特に輸出取引では、こうした控除漏れが発生しやすいため、記帳と確認が重要です。
Q17: 輸出をする事業者が消費税の還付を受ける仕組みは?
国内で商品を販売する場合には消費税がかかりますが、輸出取引に該当する場合は消費税が免除されます。これは「内国消費税は外国で消費されるものには課税しない」という原則によるもので、輸出業者は輸出取引証明がある限り、還付を申請できます。
関連記事:消費税の税額計算の仕組みと輸出免税の税額計算の仕組み
Q18: 簡易課税制度とは?
簡易課税制度は、仕入税額控除を簡略化するため、売上等に対する税額から控除できる仕入税額を一定割合に基づいて算定する方式です。この方式を採用した場合は還付を受けることができません。また、輸出取引においても消費税の還付が適用されません。
関連記事:簡易課税の計算方法


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