輸出還付に関する税務署からのお尋ね書が来ても、そつなく対応できる方法

「輸出還付の申告書を提出すると、税務署から消費税のお尋ねがくる」とはよく言われていることです。しかし、実際にお尋ね書が手元に届くと、ドキッとしてしまうのではないでしょうか。

法的拘束力のないお尋ね書に対して、必ず回答しなければならないという義務はありません。しかし、放っておくと、いつまで経っても消費税の還付がされなかったり、「回答できない理由があるかもしれない」と疑われてしまい、税務調査の対象となる可能性が出てきますので、注意が必要です。

お尋ねに対する回答で大事なのは、提出を求められた書類をすべて出すことです。必要な書類を速やかに出せるよう、普段から準備しておきましょう。

本記事では、輸出還付に関する税務署からのお尋ね書が来た時に確認するポイントと、準備すべき書類、そして、書類を保存する際の留意点についてご紹介します。

税務署から届いたお尋ね書の内容を確認する

消費税還付に関するお尋ね書とは簡単に言うと、提出した消費税の還付申告書に関する税務署からの問い合わせのことです。

日本の消費税は、国内の消費にかかる税金で、国外で消費されるものにはかかりません。そのため、貿易会社は、国内で購入し国外で販売した商品に対して、一時的に納めた消費税を、国から返してもらうことができます。

この輸出還付を申請すると、税務署からお尋ね書が来ることがあります。お尋ね書が届く理由はいくつかありますが、申請した還付金が、一定額を超えた場合であることが多いようです。

お尋ね書が届いたら、まずは落ち着いて内容を確認しましょう。法的書類とは異なるお尋ね書の内容は、各税務署によって異なりますが、おおむね

・記載されている内容について回答してほしい
・記載されている日までに回答してほしい
・回答する際は、必要書類も添付してほしい

といったことが書かれています。

お尋ね書の回答に必要な書類を準備する

具体的にどのような書類を提出すべきかについては、お尋ね書に書いてあります。お尋ねの理由によって準備する書類は異なりますが、輸出還付の場合は、以下の書類を提出できるように準備しておくと安心です。

① 商品購入(仕入)に関する書類
・請求書
・仕入代金の決済関係書類
・契約書

② 輸出販売に関する書類
・請求書
・輸入許可通知書・インボイス
・契約書

請求書や契約書は、取引の際に発行され、取引があったことを証明する書類です。仕入れ代金の決済関係書類は、振込明細や、外国為替計算書などの書類を指します。決済関係書類は、通帳からコピーするか、またはインターネットバンキングから必要箇所を印刷(一部のインターネットバンキングでは、振込明細書を発行しているところもあります)します。

輸入許可通知書は、輸出や仕入れ時に交付されます。インボイスは、貿易取引の際に必ずといってよいほど作成される書類です。これらの書類は、紛失さえしなければ、提出が難しいということはないでしょう。

書類を保存する際の留意点

必要な書類をスムーズに取り出すには、日頃から書類を適切な方法で保存しておくことです。ここでは、書類を紙または電子データで保存する際の留意点について、それぞれ説明します。

紙で保存する際は、取り出しやすいように整理して保存する

書類を紙で保存している場合、無造作に積み上げたり、適当に放置したりしないように気をつけましょう。

関係書類は、見つけやすいように整理しておくことは、お尋ね書が届いた時にスムーズに回答できるだけでなく、過去の取引について調べる時にも便利です。特に、貿易関連の書類は、請求書や契約書から、船荷証券、原産地証明書まで多岐にわたりますので、整理が必要になるでしょう。

保存する際は、各書類についてどう分類するか、ルールを決めましょう。そうすることで、常に同じ要領で分類して保存できるため、取り出したい書類を迅速に取り出せるようになります。

帳簿や書類を電子データとして保存する際は、事前に申請が必要

書類を電子データとして保存することは、それほど珍しいことではなくなってきました。しかし、利用する際は注意が必要です。

なぜなら、書類を電子データとして保存する場合、原則として電子帳簿保存法に従う必要があるからです。

電子帳簿保存法は、電子化した国税関係帳簿書類(「国税関係帳簿」または「国税関係書類」)の保存に関する法律です。この法律によって、国税関係帳簿書類に分類される仕訳帳や売上帳、そして請求書や誓約書などを電子化して保存することが可能になりました。

ただし、電子帳簿保存法を適用させるには、申請が必要です。税務署に申請してから適用されるまでに時間がかかるため、余裕を持って申請しましょう。例えば、スキャナ保存の場合、始めたい日から3カ月前までに申請することが求められています。

国税庁のホームページには、申請方法について紹介されていますが、内容がよくわからないという場合は、税理士など専門家と相談しながら手続きを進めることが無難です。

まとめ

輸出還付に関する税務署からのお尋ね書が届いた時の対処法について、解説しました。お尋ねには必ず答えなければならないという法的義務はないものの、無視せずに回答することが得策と言えます。

回答する際に最も気をつける点は、正確さです。特に、求められた書類はすべて提出する必要があります。確実に提出するためにも、日頃から関係書類を適切に保存しておくことが望まれます。

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