外国人起業者が日本で事業融資を受ける条件・方法は?

日本において外国人オーナーが融資を受けることはできるのでしょうか。あなたが日本でこれから起業を考えている状況であれば、運転資金や設備資金といった事業融資を日本で受けることができるのか不安に感じているかもしれません。

結論からお伝えすると、外国人起業者でも日本国内で融資を受けることができます。実際に貿易事業や人材派遣事業など、日本国内で事業を営んでいる外国人起業者は年々増加しています。

彼らは国内の金融機関から融資を受けて、日本国内で事業を継続することができているため、これから起業を考えている外国人もまた同様に融資を受けることができるのです。

しかし一概にすべての外国人起業者が簡単に融資を受けることができるわけではありません。本記事では外国人起業者が日本国内で事業融資を受けるために必要な条件・注意点を解説し、方法についても紹介していきます。

外国人が融資を受けるための注意点

外国人が融資を受けるための注意点は大きく2つあります。

① 該当する在留資格が必要
原則、在留期間内に融資を返済する必要あり

原則、該当する在留資格を保有していなければ日本で事業融資を受けることができません。
下記に事業融資を受けるための在留資格を掲載しているので、順番に見ていきましょう。

外国人が融資を受けるために必要な在留資格

外国人起業者が融資を受けるために必要な在留資格は大きく6種類あります。

・融資可能な外国人の方の在留資格(在留期間)
① 永住者・特別永住者(無期限)
② 定住者(5年、3年、1年、6月または法務大臣が指定する期間※5年以下)
③ 経営・管理(5年、3年、1年、3月)
④ 高度専門職1号ハ(5年)
⑤ 高度専門職2号(無期限)
⑥ 日本人の配偶者等、永住者の配偶者等(5年、3年、1年、6月)

まずはご自身が保有する在留資格が上記に該当するか確認する必要があります。

日本に滞在する外国人の4割近くは永住者、特別永住者 ですが、この記事を読んでいる方は経営・管理ビザを取得し日本で起業または日本支社での経営業務に携わっている方が多いかと思います。

原則、在留期間内に融資の返済をしなければならない

原則として、日本国内で事業融資を受けた場合は在留期間内に返済する必要があります。前の項目で掲載した表に()で表記しているのが在留期間です。

永住者や特定永住者、法務省令で定められた基準に適合する高度専門職2号の方は、在留期限が無期限のため長期での融資を受けやすいというメリットがあります。

しかし一方で経営・管理や定住者、高度専門職1号の在留資格を有している場合は、融資期間が最長でも5年となるケースに注意が必要です。

5年毎に在留資格を更新することができれば、5年経過以降も日本に滞在することができますが、融資実行時点で在留資格が更新されるという確証が得られないため、融資期間は5年となってしまいます。

ここで、日本国内で融資を受ける際の一般的な例をみてみましょう。

一般的に日本国内で運転資金の融資を受ける際の融資期間は以下のとおりです。
① 運転資金 1年~7年
② 設備資金 5年~20年

仮に返済期間7年で運転資金を調達されたい場合は、在留資格が無期限でなければ融資を受けることが難しいことがわかります。

在留期間が短い場合は、返済期間1年の融資を毎年つないでいくなど、ある程度工夫を凝らして資金繰りを維持していく必要があるためご注意ください。

創業融資を受ける方法

在留資格の要件を満たしていることが確認できたら、次に「どこで融資を受けることができるのか」を把握する必要があります。

ここでは日本で起業した外国人が創業融資を受ける方法を2種類解説していきます。

日本政策金融公庫

まず初めに紹介するのが、日本政策金融公庫を利用した創業融資を申し込む方法です。

日本政策金融公庫は、日本国内に5つある政府系金融機関の1つです。日本政策金融公庫以外の政府系機関は商工中金などが挙げられます。

日本政策金融公庫は全国に152支店を構えており、地域密着で多くの中小零細企業へ金融的な支援を行ってきた歴史があります。

世間一般には「日本公庫」「公庫」などと呼ばれており、今までにも創業間もない個人・法人が多くの融資を受けてきた実績があるため、創業融資を検討する際には公庫の利用は充分に検討する必要があります。

信用保証協会融資

次に、信用保証協会の「信用保証」を利用して創業融資を受ける方法を解説します。

信用保証協会とは、信用保証協会法に基づき中小企業や小規模事業者の金融支援を行う目的で設立された公的機関です。

日本政策金融公庫と異なる点は、信用保証協会は「金融機関が行う融資に対して、信用保証を付与するのみ」で、直接融資をするわけではないという点です。

日本政策金融公庫は国内の三菱UFJ銀行や三井住友銀行といった銀行と同様に、自社で直接顧客へ融資を行います。

よって信用保証協会で創業融資を申し込む場合は、保証協会のみで完結せずに既に口座を保有している銀行などを経由して審査が行われる点をご注意ください。

まとめ

以上、外国人起業者が日本国内で融資を受けるための方法をご紹介しました。在留資格や在留条件によって融資の可否が決り、公庫や保証協会を利用して創業融資を申請することがおわかりいただけたかと思います。

公庫と保証協会どちらで融資を申請するにしても、「創業計画を高い品質で作成できるかどうか」が一番大切になってきます。

実績のない起業者が融資を受ける際には、過去の決算書がないことからビジネスモデルや今後の収支計画を現実味もって作りこめるかどうかが非常に重要です。

岩谷敦史税理士事務所では、日本で起業されている中国人の経営者の経営サポートをおこなっておりますのでぜひお気軽にご相談ください。

NEXT
輸出還付に関する税務署からのお尋ね書が来ても、そつなく対応できる方法