
新型コロナウイルス感染状況が落ち着いてきた現在、外国人技能実習生の受け入れも再開されました。
外国人技能実習生の経理担当者は、外国人の税金の取り扱いは日本人の場合と違うケースもあるため、注意が必要です。
また外国人技能実習生は、日本独自の税金の仕組みが理解できず、不安になっているので、さまざまなサポートが必要になります。
今回は、外国人技能実習生の所得税や住民税について、くわしく解説します。
Contents
外国人技能実習生の税制区分
外国人技能実習生は日本の技能を学んで母国に持ち帰り、経済発展のために役立てるために日本の企業で働き賃金を受け取ります。
在留期間により「非居住者」と「居住者」という区分に分かれます。
「非居住者」について
非居住者とは、1年未満で帰国する可能性が高い実習生のことです。
「居住者」について
居住者には「非永住者以外の居住者」と「非永住者」の区分に分かれます。
非永住者以外の居住者
「非永住者以外の居住者」とは、一般的に日本に住んで納税している日本人を指します。
非永住者
国税庁ホームページによると、「非永住者」とは『居住者のうち日本国籍がなく、かつ、過去10年以内の間に日本国内に住所または居住を有していた期間の合計が5年以下の期間滞在している個人』を指します。
2年目以降の在留が確定している外国人技能実習生はこの区分にあたります。
外国人技能実習生の税金は?
技能実習生として日本に来ている外国人は、日本人と同じく税金を払う義務があります。
1年目は所得税、2年目からは所得税に加えて住民税の納付が発生します。
しかし、「日本で働いて賃金をもらっているため、納税する義務がある」ということを、理解していない外国人実習生も多いでしょう。
担当者は、日本に滞在していれば、外国人にも納税義務が発生することを、伝えてあげましょう。
担当者が、ある程度のアドバイスをしてあげることで、外国人技能実習生の納付忘れを防ぐことができます。
外国人技能実習生の所得税について
実習1年目から払わなければならないのが所得税です。
「非居住者」「居住者」の税制上の区分で税率は変わります。
非居住者の場合(技能実習1年目)
日本滞在が1年未満と確定している場合、所得税の税率は収入の20.42%となります。(この場合の「収入」とは、実際の賃金から社会保険や年金を引いた所得をさします。)
多く納めた税金は、後ほど確定申告をすることで返ってきます。
<所得による税率>
源泉徴収による 課税前の収入 |
195万円 以下 |
195万円超~330万円 以下 |
330万円超~695万円 以下 |
5% | 10% | 20% |
*上記は年間の所得に対する課税
もし、滞在1年未満の外国人技能実習生でも、1年以上滞在見込みがあれば、次に解説する「居住者」の税制区分として処理しても、問題ありません。
なぜなら、「1年未満の外国人」「1年以上の外国人」「日本人」の3区分に分けて税務処理を行うのは、かなりの労力を要するからです。
居住者の場合(技能2年目以降)
実習2年目以降の所得税は、日本人と同じように「給与所得の源泉徴収税額表」を使って計算します。
こちらをご参照ください。
給与所得の源泉徴収税額表
外国人技能実習生の住民税について
在留2年目の外国人技能実習生から「給料から住民税が引かれているのはなぜか?」という質問がくることがあります。
入国時に説明されているはずですが、理解していない外国人技能実習生も多くいます。
担当者が前もって、「6月の給料明細から引かれる」という補足説明をしておくと、スムーズでしょう。
在留1年目の場合
住民税は、前年度の1月から12月の収入に応じて、一定額以上の所得があった人が納税します。
そのため外国人技能実習生は、在留1年目または2年目の来日時期によって、非課税となります。
在留2年目以降の場合
2年目以降の外国人技能実習生は、日本人の給与所得者と同じ扱いとなります。
外国人技能実習生に分かりやすく説明するポイントは3つです。
・1月1日の住所地に基づいて課税される
・前年度の所得から計算される
・税率はほぼ全国一律で、課税所得のおおむね10%である
税金の仕組みは、国ごとに違います。分かりやすく伝えて納得してもらいましょう。
途中帰国する場合の残りの住民税について
外国人技能実習生が年度途中で帰国する場合でも、住民税は納めなければなりません。
前年の1月1日から12月31日までの所得に対しての課税であるためです。
残りの住民税を支払ってもらうのに一番良い方法は、退職時に給料や退職金から一括で天引きすることを、前もって説明しておくことです。
退職前に担当者と当事者できちんと話し合っておきましょう。
まとめ
今回は、外国人技能実習生の税金について、くわしく解説しました。
税金は国ごとにシステムが変わるため、外国人にはなかなか理解できないこともあります。
企業側もしっかりとした知識をもって、海外からの実習生を迎えることで、よりスムーズな対応が可能になるでしょう。


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