
海外旅行や海外出張中にケガや病気で病院に支払った費用は、確定申告で医療費控除にできるのだろうか?
入院費や交通費など何を控除できるのかわからない…という疑問に対して解説いたします。
この記事でわかること
・海外滞在期間などの条件
・医療費控除として対象になるケース
・以前(今年ではない)海外で支払った医療費は対象になるのか
Contents
日本で医療費控除ができる滞在期間の条件
医療費控除は、国内で療養を受けたものと限定されていません。
海外で受けた治療や療養にかかった費用も医療費控除の適用が受けられます。
ただし、どこに住所が有り、いつ支払ったのか? 居住者期間か非居住者期間なのかが重要になってきます。
ポイントは主たる生計者(1番稼いでる人)が居住者なのか、非居住者なのか、ということを一番最初に判断する事です。
そしてどのような場合、医療費控除が受けられるのか?いろいろなケースで解説していきます。
居住者とは
『居住者とは』
日本国内に住所を有している・現在まで引き続き一年以上居所を有している個人のことを指します。
あらかじめ1年以上日本に住むことが予定されているのであれば、居住を開始した時点から日本の居住者になります。
国内に家族がいて自宅も建てている、国内で期間を定めず雇用されているなど、1年以上居住していることを客観的に証明する必要があります。
『居住者は医療費控除適用ができる』
居住者は生計を一にしている者(収入に関係なく一緒に生活している家族)家族全員分の医療費を合計して、医療費控除適用できます。
【住所】住所はその人の生活の中心がどこかで判定
「各人の生活の本拠」をいい、国内に「生活の本拠」があるかどうかについては、住居、職業、資産の所在、親族の居住状況、国籍等の客観的事実によって判断することになります。
【居所】「その人の生活の本拠ではないが、その人が現実に居住している場所」とされています。
国税庁:No.2875 居住者と非居住者の区分 引用
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2875.htm
非居住者とは
『非居住者は医療費控除適用できない』
日本人であっても、一年を超えて海外に出向や移住をする場合には、出国をする時点で日本の非居住者となります。
国内に住所がない方、または継続して1年以上居所を有していない方を指します。
具体的には、海外赴任や移住により、住所を海外に移している方です。
子供が海外留学をしている非居住者の場合
例)『子供が留学中に病気やけがで医療費を払った場合』
父:日本で仕事をして、住居、資産など所有 「生活の本拠」がある(居住者・主たる生計者)
子供:大学生、1年以上海外に留学中(非居住者)
子供の学費、生活費等日本から送金している(生計を一とする親族)
※支払明細書、送金した領収書など、生計を一とする親族を証明する書類は必ず保管する
→海外で支払った医療費は医療費控除を受けられます。
主たる生計者が海外赴任で非居住者 家族は日本で暮らしている場合
例)『日本で暮らしている家族が病気やけがで医療費を払った場合』
父:1年以上海外赴任中(非居住者)
母:所得がない、専業主婦で納税していない(居住者)
子供:働いていない(居住者)
→父:海外赴任中(非居住者期間中)のため医療費は対象外・家族も同様に医療費控除は受けられない。
【補足】
→母:専業主婦ではなく所得がある場合は、日本にいる家族は母の所得に対しての確定申告で医療費控除を受ける事ができます。(医療費を一定額以上支払った場合)
国税庁ホームページのリンク参考:No.2012 居住者と非居住者の判定https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2012.htm
日本で発生した所得のみに対して、日本の税金がかかります。
所得税に関しては以下を参照してください。
国税庁:No.2873 非居住者等に対する課税のしくみ(平成元年29年度分以降)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2873.htm
医療費控除になるのか?具体例を説明
居住者のみ医療費控除が受けられるというのがわかりましたね。
その他、治療内容、治療目的で対象になるか?具体例をあげてみます。
医療費控除の対象になるケース
・歯痛を治療した際の治療費
・事故にあいケガや骨折をし、入院した際の入院費、療養費
・現地で疫病に感染し、診療を受けた際の診察費
医療費控除の対象にならないケース
・美容整形
・美容目的の歯科治療や矯正
・不妊治療
・性転換手術
・非居住者期間中に海外から一時的に帰国して日本で治療を受けて日本で医療費を支払った場合
支払った医療費の計算方法
医療費を支払った年度の1月1日~12月31日までに、「自分や生計を一とする親族」全員分の医療費合計で一定額以上支払った場合に受けられるのが医療費控除です。
海外で支払った医療費もほかの医療費と同様に医療費控除の計算に含めることができます。
ただし、還付金や保険金を受け取っている場合は、それらの金額を差し引いた額が申告額になります。
治療費、入院費等を現地通貨で支払ったときは、その支払日の外国為替のレートで円換算します。
現地の病院の領収証は必ず保管しておいてください。
過去海外で支払った医療費は対象になるか
還付申告
過去に海外で医療費の支払いをしたにもかかわらず、確定申告をしていなかった場合。
医療費の支払いをした翌年の1月1日以降5年以内であれば遡って医療費控除を受けられます。
海外で支払った医療費|日本の医療費控除ができる条件 まとめ
その人が居住者なのか、非居住者なのか、ということを一番最初に判断する事がポイント。
居住者だけが医療費控除の対象です。
対象になる治療は、国内における保険診療の範囲と同じであり、公的な医療保険制度が適用される範囲の医療行為を指します。
現地の通貨で支払っている場合は、支払日のレートで換算し、医療費として申告しますので領収書は大切に保管してください。
主たる生計者が非居住者期間中の場合、医療費は対象外・家族も同様、医療費控除は受けられません。
居住者は収入に関係なく一緒に生活している家族全員分の医療費を合計して、医療費控除ができます。
5年間は遡って申請できますので、忘れずに確定申告をしてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。


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