開業に必要な書類と記入のポイント

執筆者 中国語対応税理士 岩谷敦史
提出が必要となる主な書類
書類名 | 概要 | 提出期限 | 備考 |
---|---|---|---|
個人事業の開業・廃業届出書 | 個人事業を始める際に税務署に提出する書類 | 開業日から1か月以内 | 開業日、事業内容、屋号などを記入。税務署に持参または郵送(控えに受付印がほしい場合は返信用封筒と切手も同封)。 |
所得税の青色申告承認申請書 | 青色申告を行うための承認申請書 | 原則として開業日から2か月以内 | 青色申告にすると、帳簿作成の要件があるものの各種特典(特別控除など)を受けられる。 |
給与支払事務所等の開設届出書 | 従業員を雇用し、給与支払い事務を行う場合に提出(該当者のみ) | 開設日(給与支払開始日)から1か月以内 | 今回は従業員ゼロとのことですが、将来雇用の際に提出が必要。 |
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 | 従業員や専従者がいる場合、源泉徴収した所得税を年2回まとめて納付できる特例の申請 | 随時(従業員を雇用した場合に検討) | 従業員不在なら不要。 |
ポイント
- 「個人事業の開業・廃業届出書」と「所得税の青色申告承認申請書」が最重要。
- 開業日は「実際に事業活動を始めた日」または「始める予定日」を記載。
- 書類は国税庁HPなどからダウンロード可。郵送で提出することも可能。
書類の書き方・主な記入項目
(1) 個人事業の開業・廃業届出書
- 氏名・住所・電話番号:本人の情報を正確に記入。
- 屋号(任意):屋号があれば記入。なければ空欄でもOK。
- 事業の種類:パーソナルトレーナー業・サービス業など具体的に。
- 開業日:実際の開業日または予定日。
- 事業の概要:トレーニング指導、食事指導、オンラインカウンセリング等を簡潔に。
(2) 所得税の青色申告承認申請書
- 納税地:通常は住民票のある住所。
- 職業:パーソナルトレーナーなど具体的に。
- 簿記方式:複式簿記 or 簡易簿記(65万円控除を狙うなら複式簿記+要件充足)。
- 備付帳簿の種類:総勘定元帳、仕訳帳など。会計ソフトの場合も同様に記載。
- 決算期間:通常1月1日~12月31日。開業年は開業日~12月31日。
青色申告のメリットと今後の流れ
青色申告を選択するメリット
- 青色申告特別控除
- 電子申告や電子帳簿保存の要件を満たせば最大65万円、紙提出の場合は最大55万円の控除。
- 赤字の繰越し
- 3年間にわたり赤字を繰り越せるので、翌年以降の黒字と相殺できる。
- 家族への給与を経費計上しやすい
- 青色事業専従者給与として認められる(家族従業員がいる場合)。
- 記帳・帳簿管理が習慣化
- 売上や経費を常に把握しやすく、経営管理に役立つ。
今後の流れ・注意点
- 事業用口座・カードを分ける
- 個人と事業の支払いを明確に分けることで帳簿付けが楽になる。
- 会計ソフトを導入する
- 簿記が苦手な方はソフトの活用がおすすめ。ミスも減らせる。
- 消費税の届出
- 開業初年度は免税事業者が原則(年商1,000万円超えたら要検討)。
まとめ
パーソナルトレーナーとして個人事業をスタートする際は、まず税務署への開業届と青色申告承認申請書の提出を早めに済ませましょう。
青色申告には大きなメリットがあるため、記帳ルールを把握しておくと後々の税金対策や経営管理にも役立ちます。


PREV
![]() |
NEXT
![]() |