【節税】出張旅費規程を使って海外出張経費を精算

出張旅費の経費を実費精算するとレシートや領収書、その他たくさんの書類を整理、精算しなければいけません。しかも処理が複雑で集計漏れが生じやすくなり、無駄な税金を払う可能性もあります。

そのようなことにならないように、出張旅費規程を国内版、海外版、それぞれ作る事をおすすめします。

作成、運用ポイントはしっかりとルールを決めて出張旅費規程を作ることが大切です。

今回は海外出張をテーマにして出張旅費規程の作成、運用方法を解説いたします。

【ポイント】
法人の場合:出張旅費規程を作成、旅費交通費として適用できる事

個人事業主の場合:事業主は出張旅費規程を使っての旅費交通費については適用できない従業員適用できる事

 

この記事でわかること

・海外出張旅費規程を使うとなぜ節税できるのか
・個人事業主の場合の旅費交通費として認められるもの

海外出張旅費規程とは

出張旅費規程とは交通費や宿泊費、日当をあらかじめ国地域、役職などで支給する金額を決めて定額支給する方法です。

実費精算との違いは、実際に払ったお金と支給される金額の差額が残った場合、非課税のお金として受けとれる事です。

会社であれば、株式会社に限らず医療法人や合同会社などあらゆる法人、家族経営の会社や一人であっても認められます。積極的に出張旅費規程を設けて活用してください。

海外出張旅費規程を作成するための項目

海外旅費規程で必要な項目4つ宿泊費・日当・交通費・支度料があります。それぞれについて説明をします。

定額支給する宿泊費と日当は、役職、どこの国に行くのかによって、先に金額を決めてしまいます。
会社の規模、頻繫に行く国などで自由に分けて決められます

【例を使って説明】

・会社規模は10名位(代表、管理職、一般など)
・海外取引先は中国、台湾、韓国、東南アジアが多い

役職を分ける→『代表、管理職、一般』『代表、一般』など自由に決めてください。

海外の区分を決める
A地域:中国、韓国、台湾、東南アジア→よく行く国
B地域:あまり行かない国

B地域よりもA地域への出張は宿泊費や日当を高めに設定しても問題ありません。

宿泊費について

【宿泊費】役職と海外区分で分けた表を作成する

例)宿泊費を定額15,000円にしている場合
10,000円のホテルに泊まった場合は差額の5,000円が非課税のお金として受けとれます。

注意)宿泊費というのは、実際にお金を支払ってホテルに宿泊した場合にのみ定額支給できます。機内泊の宿泊代や別の人がホテル代を負担してくれた場合は定額支給できません。

日当について

【日当】役職と区域で分けた表を作成する

海外旅費規程で決めておいた額を定額支給することができます。
宿泊費を取引先に払ってもらったときは、日当だけの支給になります

出張では時間外勤務という概念があいまいになります。
出張旅費規程がある場合はみなし残業代と考え日当で支給。

交通費について

バリュー価格(安い料金)で飛行機に乗ったとしても、あらかじめ制定しているエコノミークラス運賃の定額料金で精算できて差額は受け取れます。飛行機代の差額(同じグレードでの定額料金と最安値)

ビジネスクラスについての注意:海外出張の飛行機代はビジネスクラスの定額運賃となると実費との差が大きすぎるので、常識の範囲内で計算するのがいいです。(実際にビジネスクラスに搭乗している場合は問題ありません)

【電車、バスなどの交通費】
領収書が出ない交通費も別途請求できるので、メモを必ず残してください。

支度料について

海外へ行くとき、国内出張とは別に準備に必要なお金がたくさんかかります。世界対応のコンセントプラグや機内で使う耳栓など、外国ならではの準備が必要になります。

支度金の額については、初回最高で10万円などに定めてもいいです。ただし、再度海外へ出張する場合は支度料を減らすようにする必要があります。なぜなら海外で使うために買ったものが回数を重ねるごとに揃っているはずだからです。実情にあわせた支度料を設定するようにしてください。
支度料も出張旅費規程に明記しておきましょう。

海外出張する時の注意点

適切に節税をするために、注意しないといけない事を2点説明します。

出張をしたという証拠を保管

適切な節税を実現するためにも、税務調査のことまで考えて対策を練るようにしましょう。

海外出張したことの証明、空出張でないことを証明するため、領収書やその代わりになるものが必要です。
ホテルに宿泊したという証拠を残すために領収書、旅費交通費も領収書やメモを残してください。

・かんたんな議事録
・視察の場合は写真などを残す
・取引の際のインボイスや書類
・日程表やレシート、領収書

プライベートの旅行と認定されると旅費交通費を認めてもらえなくなりますので、必ずジネス目的だという証拠をきちんと残してください。

旅費交通費・宿泊費は個人のお金で支払う

旅費交通費・宿泊費は帰国後定額支給で精算するので必ず個人のお金で払ってください。

お金の流れは、個人が交通費や宿泊費を払い、後で会社が出張旅費規程に従って交通費とホテル代を定額支給するという順番になります。

会社のお金で払った場合は、定額支給ではなく普通の会計処理になります。出張旅費規程で請求できなくなり節税のメリットもなくなるので注意しましょう。

法人クレジットカードで精算する方が便利ですが、手間をかけて処理をしたほうが節税効果がありますので、上記のお金の流れで処理するのがおすすめです。

旅費精算書を作成する

海外出張した場合、旅費精算書を作成しましょう。会社に提出して、定額支給を受けることが出来るようになります。旅費交通費に記載する内容は以下の通りです。

  • 【氏名】
  • 【スケジュール】期間、要件、宿泊地
  • 【旅費明細】日当、宿泊費
  • 【交通費その他支出】飛行機代、現地での交通費やSIM代など、支度料

あらかじめテンプレートを作成しておくのがよいでしょう。

個人事業主の出張にかかる旅費交通費について

個人事業主の出張では多くの項目が経費として認められています。
どこまで経費にできるのか計上する際の注意点などについて解説します。

経費として認められるもの

【宿泊費:旅費交通費】
数日間の滞在でホテルなどに宿泊した場合

【出張先で参加したセミナーや研修会の費用:研修費】
領収書・セミナーや研修の資料も一緒に保管しておく。

【クライアントを接待した費用:接待交際費】
食事代、宿泊費、クライアントへのお土産代
領収書の表面などに、接待した相手の名前・会社名などをメモしておく。

【同行した従業員の日当:出張手当】
給与とは別に出張の日当を支払う場合、出張手当として経費に計上することが可能です。
日当は非課税になっているため、あまりに高額な日当を払うと税務署から指摘される可能性もあります。

個人事業主は自分自身に対して日当を支払うことができません。

経費として認められないもの

食費全般:単なる食事代やホテルでのルームサービス、生活用品代などは経費として扱えません。

家族や友人へのお土産代:家族、友人は経費にできません。従業員全員へのお土産代は福利厚生費で経費にできます。

【出張先での観光】プライベートの観光とビジネスの経費は按分して計算します。
全体の何割かをプライベート分として、否認する=自己申告する

出張費用を精算するために必要なこと

領収書は必ず受け取り、保管する。

クレジットカードを利用する。(明細が残るため)

レシート、領収書の表に使用目的など細かくメモする、その場で書く癖をつけておく事を
おすすめします。

レシート、領収書がないものはメモに必ず詳細を残す。(日付、時間、詳細をできるだけたくさん残しておく)

レシートと領収書どちらが証拠として強い?

レシート:レジから印刷され出たもので、購入した日付や店名、時間、品目、商品毎の単価、取引内容が印字されている。

領収書:領収書は手書きで記入。宛名あり、取引内容は「品代」と書かれたり、ない場合がある。時間、商品ごとの単価などは書かれていない。

情報の改ざんが難しく、どんな品物を購入したかが明記されているレシートの方が、「品代」と書かれた領収書よりも、取引の証拠として信頼性が高いと判断されるケースも多い。

【節税】出張旅費規程を使って海外出張経費を精算するのまとめ

・法人の場合は出張旅費規程をルールを決めて作成し、しっかりと運用していく事が節税対策として重要です。

・個人事業主は実費精算になりますので出費の内訳を細かく記録しておき、いつ何を支払ったのか分かるようレシート、領収書をまとめておくことが大切です。

・個人事業主の方は出張と観光両方した場合は、経費と出費全体の何割かをプライベート分として、否認する=自己申告するようにして下さい。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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