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はじめに
給与所得者は通常、年末調整によって所得税が精算されるため、追加の確定申告をしなくてもほとんどの場合は問題ありません。
しかし、ふるさと納税を6自治体以上に行ったり、ワンストップ特例を利用できない状況になったりした方は、寄附金控除を受けるために確定申告が必要になります。
本記事では、「給与収入のみ」「年末調整済み」「ふるさと納税を6自治体以上」という方を想定して、確定申告書の作成方法を詳しくご紹介します。提出期限や注意点・よくあるミスもあわせてまとめましたので、これから申告する方はぜひ参考にしてください。
ふるさと納税と確定申告のしくみ
ふるさと納税(寄附金)は、寄附金控除として所得税や住民税の負担を軽減できる制度です。
- 所得税については、該当年の確定申告で「還付」という形で返ってきます。
- 住民税については、翌年度分から減額される形で負担が軽くなります。
ふるさと納税は、合計額から2,000円を引いた金額が実質的に全額控除される仕組み(上限あり)です。自己負担は2,000円だけというメリットがあるため、多くの方が活用しています。
ワンストップ特例と確定申告
- ワンストップ特例:ふるさと納税先が5自治体以内なら、寄附ごとに「申告特例申請書」を提出することで確定申告不要になる制度
- 6自治体以上に寄附した場合:ワンストップ特例は使えないため、すべての寄附分を確定申告にまとめて記入する必要があります。
ふるさと納税6自治体以上なら確定申告が必要!
前述のように、ふるさと納税の寄附先が5自治体以内でワンストップ特例を使っている方は、基本的に申告不要となるケースが多いです。
しかし、6自治体以上に寄附した場合は、ワンストップ特例の適用は不可(または既に提出した特例申請が無効)になるので、必ず確定申告で寄附金控除を申請しましょう。
- 1〜5自治体に寄附 → ワンストップ特例を利用できる(申告不要な場合あり)
- 6自治体以上に寄附 → ワンストップ特例不可。確定申告が必須
さらに、「医療費控除を申告する予定がある」「住宅ローン控除を初めて受ける」など、他の理由で確定申告が必要な場合は、ワンストップ特例を使っていても全寄附分を申告書に合算して記載しなければなりません。
確定申告書の作成手順(給与所得のみ・年末調整済み)
ここでは、給与所得が1社のみ(副業なし)で年末調整が済んでいる方を想定した手順を解説します。寄附金控除を受けるためのポイントを押さえて、書類不備や記入漏れがないように気をつけましょう。
必要書類の準備
- 源泉徴収票(勤務先から受け取るもの)
- 給与収入や源泉徴収税額などが記載されています。
- ふるさと納税の寄附金受領証明書
- 寄附した各自治体から発行されます(6自治体分以上、すべて必要)。
- 紛失しないよう、大切に保管しましょう。
- マイナンバーカードまたはマイナンバーがわかる書類+本人確認書類
- 書面提出の場合は番号確認と本人確認のため、マイナンバーカードのコピー(両面)などが必要です。
- e-Tax(電子申告)の場合、マイナンバーカードを使ってオンライン送信すると、紙での添付は不要です。
- 銀行口座情報(還付金の振込先)
- 申告書第一表の「還付される税金の受取場所」に金融機関名や口座番号を記載します。
国税庁の「確定申告書等作成コーナー」での作成方法
ステップ1:サイトにアクセス
- 国税庁公式サイトの「確定申告書等作成コーナー」へアクセス
→ 画面の案内に従って申告書を作成できます
→ 給与所得と寄附金控除のみなら、スマホでも作成・電子申告が可能です
ステップ2:源泉徴収票の数字を入力
- 給与所得(年末調整済み)を選択し、源泉徴収票に記載されている
- 支払金額(年収)
- 源泉徴収税額
- 社会保険料等の控除額
などを画面の指示どおり入力
ステップ3:ふるさと納税(寄附金控除)の入力
- 「所得控除」画面で「寄附金控除」を選択
- 各寄附先ごとに
- 寄附年月日
- 寄附先自治体名
- 寄附金額
- 寄附金の種類(地方公共団体への寄附)
を入力
- 合計寄附金額から2,000円差し引かれた額が所得税控除され、翌年度の住民税にも控除が反映されます
ステップ4:計算結果の確認
- すべて入力を終えると、作成コーナーが自動計算し「還付見込額」が表示されます
- 入力漏れや金額の桁間違いがないかをしっかりチェック
ステップ5:提出方法の選択
- e-Tax(電子申告)での送信か、書面での提出かを選択
- e-Tax:マイナンバーカードによる本人認証、または事前取得したID・パスワードでログインして送信可能
- 書面:作成完了後にPDFを印刷し、必要書類をホチキス留めして税務署へ郵送または持参
書面提出と電子申告(e-Tax)の違い
書面提出 | 電子申告(e-Tax) | |
提出方法 | 印刷した申告書を郵送または税務署に持参 | インターネット経由で送信 |
添付書類 | ・源泉徴収票の原本 ・寄附金受領証明書のコピー(もしくは原本) ・マイナンバー確認書類(コピー) 等 |
・源泉徴収票や受領証明書は基本「提出省略」可 (要5年間自宅保管) ・マイナンバーカードによる電子署名で本人確認完了 |
メリット | ・ネット環境が不要 ・慣れていれば書類作成だけで済む |
・税務署に行かなくてOK ・添付書類の省略で手間が減る ・還付が比較的早い (3~4週間ほどで振り込まれる) |
デメリット | ・郵送の場合も送料がかかる ・提出後、処理にやや時間がかかる(還付が遅め) |
・ICカードリーダや対応スマホ、事前準備が必要 ・操作に慣れが必要 |
提出期限と注意点
提出期限
- 所得税の確定申告:毎年3月15日前後(平日)まで
- 例えば令和6年分(2024年中の所得)は、通常2025年3月15日が期限
- 「給与のみで還付目的の申告」は、期限より前から提出可能
- 原則、翌年1月1日から提出できます
- ただし、翌年度の住民税に確実に反映させるためにも、なるべく3月15日までに提出してください
注意点
- 期限後申告でも還付は受けられる
- ふるさと納税の還付申告は、期限を過ぎても5年間は手続き可能です。ただし、住民税の減額対応が遅れる場合があるので、できるだけ期限内に行うことをおすすめします。
- ワンストップ特例との重複に注意
- 一度でも確定申告するなら、ワンストップ特例は無効となります。すべての寄附分を申告書に記載しないと、申告していない分の寄附は控除されません。
- 住民税通知書の確認
- 確定申告で寄附金控除を申請した場合、翌年度6月頃に届く「住民税決定通知書」に寄附金額が反映されているか必ず確認しましょう。反映漏れがあれば、早めに税務署または市区町村役所に問い合わせてください。
よくあるミスと対策
ミス1:寄附金の記入漏れ・金額の入力ミス
- 対策:寄附金受領証明書をリスト化し、全自治体分の合計をしっかり入力。金額は桁を間違えやすいので要注意です。
ミス2:ワンストップ特例の重複と無効化
- 対策:ワンストップ特例を5団体で出したあと、さらに別の自治体に寄附して合計6自治体以上になった場合は、必ず確定申告に切り替える必要があります。特例申請済みの分も含め、全寄附額を申告書に記入してください。
ミス3:添付書類の不足
- 書面提出の場合:
- 源泉徴収票の原本
- 受領証明書(またはコピー)
- マイナンバー関係書類
をそろえるのを忘れないこと。
- 電子申告の場合:
- 源泉徴収票・受領証明書は紙での添付不要(入力内容を5年間保管)
- ただし、e-Taxに必要な準備(マイナンバーカードやICカードリーダ等)を事前に整えること。
ミス4:申告期限を過ぎてしまう
- 対策:給与のみの場合、1月中に還付申告が可能です。特に初めての方はシステムトラブル等のリスクがあるため、早めに取りかかるようにしましょう。期限後でも還付は受けられますが、住民税控除が遅れてしまうこともあります。
ミス5:入力後に送信し忘れ(e-Tax)
- 対策:作成コーナーで入力後、「送信完了」画面まで進み、受付番号を必ず確認。受信通知をPDF等で保存しておくと安心です。
まとめ:早めに準備して、確実に還付を受けよう
- 給与所得のみ・年末調整済みでも、ふるさと納税を6自治体以上に寄附したら確定申告は必須です。
- 確定申告書は、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を使えば入力ガイドに沿って簡単に作成できます。
- 電子申告(e-Tax)なら紙書類の添付が省略でき、還付も早い傾向があるのでおすすめです。
- 提出期限(一般的には3月15日)を守り、記入漏れ・書類不備に注意すれば、余計なトラブルを避けられます。
ふるさと納税のメリットを最大限受け取るためにも、必要書類の整理と入力チェックをしっかり行い, 早めに手続きしましょう。以上のポイントを踏まえて確定申告を行えば、2,000円の自己負担以外は全額が控除され、お得に地域貢献ができます。ぜひ参考にして、スムーズな申告を実現してください。


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