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【輸出事業者必見】消費税課税期間を短縮して賢く経営しよう!

トラリー生徒
トラリー生徒

生徒:消費税の還付を早く行うため、短縮できるということを聞いたのですが本当ですか?

先生:本当ですよ。消費税の申告を3か月または1か月に短縮して、還付を受けることができます。それによって事業の資金繰りをよくすることが可能です

ワン@先生
ワン@先生

この記事では

  • 輸出を行っている会社の経営者・経理担当者・個人事業主
  • 大きな設備投資をする予定の会社の経営者・経理担当者・個人事業主

のために消費税の短縮申告について解説していきたいと思います。

なぜ課税期間を短縮すべきなのか?

消費税の課税期間は、通常は「事業年度単位」、つまり1年間とされています。しかし、特例的な場合に、税務署への「事前届出」によって、この期間を短縮できることをご存知でしょうか。

では、なぜわざわざ「短縮」する必要があるのでしょうか。それは、消費税が「納付」だけでなく「還付」されることもあるからです。特に、輸出が多いビジネスでは、消費税が「還付」されるケースがあります。

課税期間を短縮することで、通常よりも早いタイミングで消費税の還付を受けることができます。この制度は法人だけでなく、個人事業主にも適用されます。

この情報を通じて、課税期間の短縮が資金繰りに及ぼす影響や手続きの詳細について理解できるでしょう。以下の目次を通じて、さらに詳細な情報を入手できます。

課税期間短縮のメリットとデメリット

課税期間を短縮することには、様々なメリットとデメリットが存在します。

メリット:

  1. 早い消費税還付: 課税期間を短縮することで、消費税の還付を通常より早く受けることができます。特に、輸出や設備投資が多いビジネスでは、恒常的に還付が発生し、資金繰りが改善します。

デメリット:

  1. 事務処理の増加: 課税期間を短縮することで、消費税申告書の提出回数が増え、事務処理が煩雑になります。一般的に、税理士報酬も増加する傾向があります。
  2. 最低2年間の義務付け: 一旦課税期間を短縮した場合、最低2年間はその短縮期間を継続適用する義務が生じます。この期間中に通常の課税期間に戻したい場合は、手続きが必要です。

課税期間短縮は、消費税還付の早期実現といった利点がありますが、増加する事務処理や短縮期間の継続義務には注意が必要です。個々の事業状況に合わせて、適切な選択を行うことが重要です。

課税期間の短縮の種類と届出時期

課税期間の短縮には、いくつかの種類と届出時期が存在します。以下にその要点を簡潔にまとめます。

  1. 提出書類:消費税課税期間特例選択・変更届出書
  2. 短縮の種類: 税務署への届出によって課税期間を短縮できます。短縮の種類は、納税者の選択により、通常の1年単位から3か月または1か月ごとの期間に変更できます。他の期間への変更は認められていません。(6か月は無理ですかという質問をよくいただきますが無理です。)
  3. 届出時期: 短縮を希望する場合、原則として課税期間の前日までに「消費税課税期間特例選択・変更届出書」を、納税地の税務署に提出する必要があります。提出後は、最低2年間は短縮期間が適用され、強制的に続けることになります。期の途中でも提出可能で、その場合、最初の期間は事業年度開始日から適用開始日の前日までを「一つの課税期間」として確定申告を行います。
  4. 申告期限: 課税期間を短縮していた場合でも、申告・納期限は通常の消費税申告書と同様で、課税期間終了後2か月以内となります。

課税期間短縮の具体例(3月決算法人の場合)

事例を通じて課税期間短縮の実際を理解しよう

想定する会社は3月決算の法人で、例として2023年11月5日に「課税期間特例選択変更届」を提出する場合を考えます。

課税期間の短縮:

  • この会社の通常の課税期間は、4月1日から翌年3月31日まで、1年間で申告は5月末の1回です。
  • 提出日が属する課税期間の翌日から、「課税期間の短縮」が適用されます。(次で説明をします。)

3か月短縮の場合:

  • 11月5日に提出した場合、1月1日から短縮期間が始まります。
  • 短縮期間は、1月から3月までの3か月間になります。
  • その後、課税期間4月~6月、7月~9月、10月~12月、1月~3月の期間となり、それぞれ、8月、11月、2月、5月に申告することになります。

1か月短縮の場合:

  • 同様に11月5日に提出した場合、翌月12月1日から課税期間の短縮がスタートします。
  • 短縮期間は、12月1日から12月31日までの1か月間になります。
  • その後、課税期間1月、2月、3月・・・と1月ごとの期間となり、それぞれ、3月、4月、5月・・・に申告することになります。

提出日に依存せず、課税期間の短縮は事業年度を3か月または1か月ごとに区切った月の翌月初日から始まり、これにより申告回数が増え、会社は消費税の還付を早めに受けるメリットを享受できます。ただし、この届出を提出後は2年間変更することができなくなるので注意が必要です。

特に、次のようなことを聞かれることが多いですが2年間変更することはできないので注意が必要です。

注意点

  • ビジネスが拡大したいので3か月から1か月に短縮したい。
  • 経理事務が間に合わないので、1か月から3か月に変更したい。
  • 輸出ビジネスをやめて、国内販売になって、還付を受けるビジネスではなくなった。
トラリー生徒
トラリー生徒

最初の提出の時はよく考えて慎重に提出する必要があるのですね。

とりあえずで提出される方もいらっしゃいますが、ビジネスの拡大・変更をよく考えて行う必要があります。

ワン@先生
ワン@先生

原則の課税期間に戻したい場合(課税期間短縮をやめたい場合)

原則の課税期間に戻したい場合、以下のステップを踏みます。

  • 「消費税課税期間特例選択不適用届出書」の提出:課税期間短縮をやめる意向を税務署に通知するため、「消費税課税期間特例選択不適用届出書」を提出します。
  • 提出可能なタイミング:課税期間短縮は最低2年間続ける必要があります。そのため、届出書の提出可能なタイミングは2年以上経過した時点からです。
  • 効力発生日:届出書を提出した日から、その届出書が効力を発揮します。課税期間短縮の効力がなくなり、通常の課税期間に戻ります。
  • 新たな課税期間の開始:効力発生日から事業年度末日までの期間が「一つの課税期間」とみなされます。これにより、通常の課税期間が再開されます。

例えば、3月決算法人が令和5年11月5日に「課税期間特例選択変更届」を提出し、12月1日から課税期間を1か月に短縮した場合を考えます。その後、令和7年11月3日に「消費税課税期間特例選択不適用届出書」を提出した場合、令和7年12月1日から「不適用届出書」の効力が発生し、課税期間短縮が終了します。また、令和7年12月1日から令和8年3月31日までの期間が「一つの課税期間」とみなされ、それ以降、通常の課税期間に戻ります。

簡易課税や免税事業者の場合

免税事業者の場合は、そもそも消費税を納付還付していないのでこの規定は適用ありません。

簡易課税事業者の場合は、制度上還付がなく、納付しかないので、この規定を適用しても有利なことはありません。

この制度はあくまで「課税事業者」かつ「原則課税」の場合の論点となります。

参照URL

国税庁

(課税期間)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6137.htm

(消費税課税期間特例選択・変更届出手続)https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shohi/annai/1932_1.htm

(消費税課税期間特例選択不適用届出手続)https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shohi/annai/1932_2.htm

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