
先生、輸入に消費税ってかかるってきいたのですが本当ですか?勘定科目や仕訳の方法、申告書の記載方法が知りたいです。
はい、輸入には消費税がかかりますよ。輸入商品を国内で引き取る際に、関税とともに消費税が課税されるんです。今日はその輸入消費税の会計処理について、わかりやすく解説しますね。


輸入消費税の計算方法はどうなっているんですか?
輸入消費税の計算は、CIF価格に関税を加えた額に消費税率を掛ける形で行います。そして、この税金は国に直接支払うことになるのです。


なるほど、それでは会計処理はどうすればいいんですか?
輸入消費税は国内仕入れの消費税とは異なる扱いになるため、勘定科目や税区分が異なります。これから具体的な仕訳例や消費税確定申告書の記載方法について、詳しく説明しましょう。

1:輸入時の消費税とは?基本的な理解
輸入時の消費税に関しては通常の国内の取引と異なる点が多く、皆さん疑問を持つことが一般的です。このセクションでは、輸入時に課税される消費税の基本的な概念と、それがどのように計算されるかについて詳しく解説します。
まず、輸入時に消費税が課税されるのは、国内製品と外国製品の間の公平性を保つためです。海外で商品を購入した際は、消費税が不課税ですが、日本に商品が到着し、保税地域から引き取る際に「外国貨物の輸入」として消費税が課税されるのです。これによって外国製品が不利にならないように取り扱われています。これがいわゆる「輸入消費税」になります。
輸入消費税の計算方法は、一般的な国内の消費税計算とは異なります。計算式は以下のとおりです:
輸入消費税 = (CIF価格 + 関税) × 消費税率 (10%)
ここで、CIF価格とは、外国製品を購入する商品の価格に加えて輸入港までの海外運賃と保険料を含んだ価格です。そして、このCIF価格に基づき算出された関税とともに、消費税が計算されます。
さらに重要なのは、輸入消費税が、海外の商品を購入した業者ではなく、直接国に支払われるという点です。通常の国内取引であれば、消費税は仕入業者に支払いますが、輸入消費税の場合は、多くの場合通関業者が代行して立替払いを行います。その後、通関業者からの請求を通して、実質的には国に対して支払いを行うことになります。
このように、輸入消費税は国内の消費税とは異なる特性を持っており、これらの理解は輸入ビジネスを行う際の重要な要素です。この税金の計算方法や支払い先の理解が、適切な会計処理と税務申告の基礎となります。
2:輸入商品引取時の税関手続き
輸入商品を日本に持ち込む際には、税関での一連の手続きが必要となります。このプロセスは輸入ビジネスの重要な部分であり、以下にそのステップを簡潔にまとめます。
ステップ | 説明 |
1. 輸入申告 | 輸入商品に対する関税と消費税の計算を税関で行います。この申告は通常、輸入代行業者や通関業者によって代行され、正確な税額が決定されます。 |
2. 税金の支払い | 税関で計算された税金(関税および消費税)を支払います。この支払いを完了することで、商品の輸入が正式に許可されます。 |
3. 輸入許可通知書の受取と商品引取 | 税金の支払い後、輸入許可通知書が発行されます。この通知書を受け取った後、商品を引き取ることができます。 |
輸入申告の際には、FedExやDHLなどの大手輸入代行業者や通関業者が利用されることが多く、これらの業者は税関での手続きを代行し、輸入許可通知書を含め、必要な書類を輸入者に届けます。
税関手続きの詳細は、商品の種類や価値、さらには税関の規則によって異なる場合があるため、事前にこれらの情報を把握しておくことが重要です。特に関税や消費税の計算は複雑であり、正確な金額を理解し、適切に準備することが不可欠です。
また、輸入ビジネスでは、税関手続きに関する専門的な知識を持つ通関業者や代行業者との協力が、非常に重要です。適切な手続きを踏むことで、法的な問題を避け、商品の輸入を効率的に行いましょう。
3:輸入消費税の金額算定方法・誰に払ってるのか?
輸入消費税の算出方法と、その税金を誰に支払うかについて解説します。
以下の表は輸入消費税の計算方法と支払先を簡単にまとめたものになります。
要素 | 説明 |
CIF価格 | 商品価格+輸入港までの運賃+保険料 |
関税 | CIF価格に基づいて計算される |
消費税率 | 通常は10%(食品などは軽減税率8%) |
支払先 | 国(通関業者が立て替えて支払い、事業者に請求される) |
輸入消費税の計算方法と具体例を紹介し、輸入取引における申告・納付プロセスを解説します。
- 輸入消費税の計算方法
- 輸入消費税は、CIF価格に関税額およびその他内国税額を加えた金額に消費税率を適用して計算します。具体的な計算式は以下の通りです:
輸入消費税 = (CIF価格 + 関税額) ×消費税率 - CIF価格には、商品の価格に加えて運賃と保険料が含まれます。
- 関税の計算
- 関税は、CIF価格に特定の税率を適用して計算されます。
- 輸入消費税の具体例
- CIF価格が500,000円、関税率が12%、消費税率10%の場合
- 関税額:500,000×12%=60,000円です。
- 輸入消費税:
- 国税部分: (500,000 + 60,000) × 7.8% = 43,600円(100円未満切捨て)
- 地方消費税部分:43,600円×22/78=12,200円(100円未満切捨て)
- 消費税:国税+地方消費税=43,600円+12,200円=55,800円となります。
- このように消費税は、内国消費税(7.8%)と地方消費税(2.2%)に分けられ、それぞれ異なる計算方法で算出されます。
- 輸入取引にかかわる申告・納付
- 輸入品を引き取る際には、輸入申告書を税関長に提出し、関税と消費税を納付します。
4:輸入消費税の会計処理方法
輸入ビジネスでは、輸入消費税を含む会計処理が重要です。ここでは、輸入に伴う会計処理の方法を具体的な仕訳例とともに説明します。
- 会計処理
輸入時の会計処理では、仕入、仮払消費税などの勘定科目と、輸仕本体、輸仕消税などの税区分を使用します。
輸入仕入(500,000円)に加え、輸入消費税の国税(43,600円)と地方税(12,200円)を支払った場合の仕訳を見てみましょう。
- 仕訳のイメージ
(1)税抜経理の場合の具体的な仕訳例:
借方 | 貸方 | 金額(円) |
仕入(輸仕本体) | 買掛金 | 500,000 |
仮払消費税(輸仕消税) | 買掛金 | 43,600 |
仮払消費税(輸仕地税) | 買掛金 | 12,200 |
輸入消費税は、CIF価格を基準に算定されるため、国内の通常の課税仕入とは異なります。また、輸入仕入にかかる消費税は、CIF価格を基に別途計算するため、国内仕入のような一律10%の課税仕入扱いはできません。
(2)税込経理の場合の具体的な仕訳例:
借方 | 貸方 | 金額(円) |
仕入(輸仕本体) | 買掛金 | 500,000 |
仕入(輸仕消税) | 買掛金 | 43,600 |
仕入(輸仕地税) | 買掛金 | 12,200 |
この例では、仕入(500,000円)に加え、輸入消費税の国税(43,600円)と地方税(12,200円)を仕入として計上していますが税区分(輸仕消税、輸仕地税)を選択する必要があります。
輸入消費税は、CIF価格を基準に算定されるため、国内の通常の課税仕入とは異なります。また、輸入仕入にかかる消費税は、CIF価格を基に別途計算するため、国内仕入のような一律10%の課税仕入扱いはできません。
- 支払内容ごとの勘定科目・税区分のまとめ
輸入時の主な取引内容に対する勘定科目と税区分の例は以下の通りです
通常の国内取引と比べると大きく異なるのは勘定科目に「仮払消費税」を使うことと税区分に「輸仕消税」(会計ソフトによって異なる)を使うこととなります。
取引内容 | 勘定科目 | 税区分 |
商品本体価格 | 仕入高 | 輸仕本体 |
関税 | 仕入高 | 輸仕本体 |
海外運賃 | 仕入高 | 輸仕本体 |
保険料 | 仕入高 | 輸仕本体 |
輸入消費税(国税) | 仕入高(仮払消費税) | 輸仕消税 |
輸入消費税(地方税) | 仕入高(仮払消費税) | 輸仕地税 |
通関手数料 | 仕入高 | 課税仕入 |
コンテナ運送料 | 仕入高 | 課税仕入 |
燃料サーチャージ | 仕入高 | 対象外 |
5: 消費税確定申告書の記載方法
編集中
6:参考URL
国税庁(輸入取引)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6563.htm
税関(消費税計算方法)https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1111_jr.htm
税関(関税率)https://www.customs.go.jp/tariff/2024_01_01/index.htm